不動産を共有にしないための対策 田町マンション.com
前回は共有のデメリットをお伝えしました。
今回は共有になりやすい不動産に関して、どのような円満に分割すればよいかお伝えしたいと思います。
◎土地を分割してそれぞれ単独名義にする。
土地を分筆することで、単独の意思で売却したり、マンションを建てることができます。
分筆の流れとしては土地家屋調査士にお願いをして土地の測量と境界確定をします。
そして分筆登記が完了後に所有権の移転をすれば、各相続人の土地になります。
しかし、都市計画などの法令、給排水などのライフライン、道路や隣地の関係で分筆できないケースや、各相続人の評価額を同じにすることは難しいため、分筆した土地のどの部分を誰が相続するのか決まらず、実際に難航しているケースが多くあります。
◎不動産を分けるのではなく、不動産売却代金を分ける方法
年々、不動産を売却して代金を相続人同士で分ける方が増えてきています。
なぜなら、さきほどお伝えしたように不動産は分割しにくく、相続人間で確認事項が多く、さらにはお金と時間がかかるからです。
また、相続税を納税するための資金として、遺産分割が決まったら納税割合で、その不動産売却代金を全員で分けるスキームがあります。
◎遺産分割で分ける場合
1、現金分割して売却
売却代金から仲介手数料や測量費を引いた金額をAとBで半分ずつ分けます。
しかし、お互いの手取り額は変わるので注意が必要です。
例えばAは亡くなった被相続人と暮らしていた場合、3000万円の特別控除がAのみが使えるので税金がかからないので手取り額が変わります。
他には、Bが夫の扶養になっている場合、売買代金を受け取ると所得になるので、その年に限り不要から外れ、夫の所得税が上がります。
さらには国民健康保険料、後期高齢者医療制度、入院費、介護費用など、所得に応じて変わるので事前に確認が大切です。
2、代償分割する方法
不動産をAが一人で相続して売却。売却代金の一部を代償金としてBに与える方法です。
注意点としては、遺産分割協議で必ず代償金として支払うことを明記します。もし、明記しなかった場合はAがBに贈与したことになり、贈与税がかかります。
文章としては
第〇条 長男Aは甲地を取得する。
第0条 長男Aは甲地の取得の代償金として長女Bに金○○万円を支払うものとする。
と記載します。
代償金は相続税の対象ですが、譲渡所得の対象ではありません。代償金を支払っても譲渡所得費用にはなりません。Aにだけ税金がかかり、Bは税金がかからないという不合理が生じてしまいます。
そのため税負担を考慮して代償金を決める必要があります。
税理士や司法書士と相談しながら話を進めていくことになります。
ここでもう一つ注意点として遺産分割協議書作成時に代償金の金額が決っていないことがあります。それは先にAに遺産分割協議で登記をして、お金をもらうのは決済のときなので金額が変わることがあるからです。
その解決方法としては遺産分割協議書に「Aが代償金として、この不動産を売却した金額から仲介手数料、測量費などを引いた金額から譲渡所得税相当額を控除した金額の残りの半分を代償金としてBに支払う」と記載することが大切です。
◎被相続人が死んだ後に不動産を売却して代金を分ける
清算型遺言
不動産を売却換価して、売却代金から経費を引いた金銭を分配する遺言を清算型遺言といいます。清算型遺言は独居高齢者の増加により利用が増加しています。
例えば被相続人は子供がいない方で、生前に仲が良くなかった第3順位の兄弟に遺産が行く場合。生前に介護などしてくれた姪のみに不動産代金を渡したい意思があるときに清算型遺言は有効です。
被相続人が住んでいた不動産の相続登記・売買契約・買主への所有権移転手続きは遺言執行者が行います。そのため、遺言には遺言執行者が具体的にどのような権限があるか記載しておく必要があります。
遺言代用信託
信託についてはいずれお書きしたいと思います。
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